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2012年5月16日 (水)

「文学賞メッタ斬り!リターンズ」大森望 豊崎由美

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帰ってきました、メッタ斬り。

シリーズ第2弾です。

まず冒頭では芥川賞6回落選という最多記録を持つ島田雅彦氏をゲストに迎え、公開トークショーが収録されています。

辛口なやりとりが面白い。

そして2004年~2006年、3年分の選評と選考委員をメッタ斬り。

津本陽氏がいじりまくられ、阿刀田高氏が新しく大ボケのレッテルを貼られ、ミスター選評などと皮肉られています。(笑)

そして芥川賞・直木賞の各回の予想など。

これはまず予想のやりとりのあとに結果を載せたほうが構成上面白いように思われましたが。

最終章では第一回「文学賞メッタ斬り!」大賞を選出。

さて、栄えある初代大賞は・・・・。(笑)

2012年5月14日 (月)

「タイムスリップコンビナート」笙野頼子

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いきなりマグロかスーパージェッターかわからんやつから電話がかかってきます。

どこかへ出かけろと。

「私」はしかたなく家を出、海芝浦という駅に向かうはめになるのですが・・・・。

スタートからシュールな笙野文学全開です。

それゆえ私にとってはちょっとついていけない部分もあるのですが。

海芝浦という駅はプラットホームの片側が海、もう片側が東芝の工場です。

改札は東芝への入り口となっており、関係者でないと通れません。

そんな変な駅があるのかと思ったら実在するんですね。

マグロから電話がかかってきてという虚構に虚構のような現実を合わせる。

このあたりのテクニックが物語を混沌とさせるわけです。

表題作は第111回芥川賞受賞作。

その他「下落合の向こう」、「シビレル夢ノ水」を収録。

笙野頼子の世界を堪能できます。

2012年5月12日 (土)

「作家ってどうよ?」鈴木光司 馳星周 花村満月 姫野カオルコ

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4人の人気作家がご自分のことについて語っておられます。

鈴木光司、馳星周、花村満月、姫野カオルコ。

作家のプライベートというのは文壇に興味を持つ者としてはなかなか気になるところです。

そしてなにより小説の周辺が気になりますね。

1日をどのように使って仕事しておられるのか。

アイデアはどのようにして得られるのか。

収入はどんなものなのか。

直木賞の候補に選ばれ、結果を待つ気分と状況はどのようなものなのか。

などなど。

まあミーハーといいますか下世話な好奇心ではあります。(笑)

しかしそういうことに興味を持つ人が少なくないからこそこのような本も出されるわけで。

興味をお持ちの方は一度読んでみられてはいかがでしょうか。

2012年5月10日 (木)

「羊の目」伊集院静

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浅草で侠客として売り出してきた浜嶋辰三。

内股に牡丹の刺青がある夜鷹がそんな辰三に自分の子を捨て子の形で育てさせることになります。

その子が主人公となる神埼武美です。

侠客の辰三に育てられた武美は、親である辰三のためならいつでも命を捨てる覚悟があります。

辰三の組が大きくなるにつれ、もちろんいろいろな諍いも出てきます。

武美はひたすら親である辰三のために尽くすのですが・・・・。

侠客の世界を描いた小説です。

そんな世界で辰三しか目に入らないほど純粋な心を持つ武美の生涯を描いています。

最初はなかなかの侠客だと描かれている辰三ですが、保身のため平気で子分を売り、子である武美でさえ売る俗物ぶり。

それはないやろと読みましたが、やはりそれくらいでないと生き残っていけない世界です。

そしてこれもまあ武美の純粋さを際立たせる演出となっていましょうか。

キリストの教えも武美の心に入ってきます。

辰三のため殺し屋にまでなる武美ですが、それでもひたすら心は純粋なんですね。

純粋な人間がそもそもそんなことをするかという矛盾はあるんですけども、それほど武美には辰三しか見えておらず絶対的な存在だということです。

どろどろした世界を描いているのですが、最後には清々しい印象の残る読み応えある一冊でした。

2012年5月 8日 (火)

「超有名料理店 オーナー11人の店づくり」東京美食マガジン編集部編

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11人のレストランオーナーが自身の店作りについて答えておられます。

飲食店というものを大きくふたつに分けるとしたら、「店」と「料理」ですよね。

どのような雰囲気の店にするのか。

立地条件や外観、内装など。

そしてそんな空間でどんな料理を供するのか。

この本ではタイトルからもわかるように主に「店」について書かれていまして、料理についての技術論的な内容はありません。

中身のレイアウトも上下2段、カラー写真多用、横文字もビシッとアクセントに。

オシャレといいますかスタイリッシュといいますか。

なにしろ「東京美食マガジン」編集部の編ですから。

これが「月刊専門料理」(柴田書店)から出た本だとかなり技術論な内容になるんでしょうけども。(笑)

ただ読んでいて文章のレベルがどうもなぁ、という印象。

そしてタイトル。

超有名って・・・・。(笑)

2012年5月 6日 (日)

「放送禁止映像大全」天野ミチヒロ

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今までいろんなテレビドラマや映画が製作されてきたわけですが、中には再放送できなかったりソフト化されないものがあります。

それは視聴者からの抗議であったり自主規制であったり。

そんな作品を紹介しているのがこの本です。

その原因として多いのがやはり差別や人権についてですね。

たとえば宇津井健が主役をしていた「ザ・ガードマン」。

40代後半~の人たちには懐かしいテレビドラマです。

なぜ民間企業の警備会社の人たちが刑事並みに犯罪捜査をするのかと首をかしげる設定であります。

それはともかくとしまして、そんな作品の第39話「わたしは人殺しなの」。

「キチガイ」や「発狂」というセリフが頻繁に登場するとのこと。

そして極めつけは精神障害者に対して「その人たちは犯罪を犯しやすい。困ったことだよ」の主役のセリフ。

困った人間はあんたやろ。(笑)

今こんなのをテレビで流したらえらいことになりますよね。

「超人・バロム1」というのもありました。

毎回出てくる怪人がかなりグロテスク。

そんな悪者のボスの名前がドルゲなんですが、当時兵庫県に在住しておられたドイツ人大学教授のドルゲ氏から抗議がありました。

息子がいじめられる可能性があると。

各紙でも報道されたとかで、それは当時子供だった私は知りませんでしたけども。

結局はドルゲ氏と番組側は和解したのですが、よく見かける「この物語りは架空のものであり、実在する人物や団体とは関係ありません」のテロップはそのようないきさつからこの番組が最初に使い始めたとのことです。

そのようなエピソードを持つ映像の紹介が満載。

時代を感じます。

2012年5月 4日 (金)

「虹と修羅」円地文子

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「朱を奪うもの」、「傷ある翼」に続く三部作の最終巻です。

冒頭で滋子は子宮がんの宣告を受けます。

そんな滋子の落ち込みを余所に、むしろ生き生きとして見える夫の宗像。

そして歌舞伎役者になることを夢見て滋子にわがままで負担をかける娘の美子。

重苦しい毎日の中で滋子は懸命に小説を書き、昔の恋人である柿沼と結ばれたりして励まされ癒されるのですが。

乳房を失い、子宮も失い、女としての機能を失いながらも柿沼を心の拠り所にして小説を書き続ける滋子。

愛のない夫との生活、自分の分身でありながらもひとりの女として歯向かってくる娘の美子、柿沼との逢瀬、小説にかける情熱。

まさに虹と修羅です。

しかし柿沼も死病に冒され世を去ります。

からっぽな心境になってしまう滋子・・・・。

これからもこの修羅な生活が続いていくのであろうことを示唆して小説は終ります。

作者はこれは私小説ではないと否定しておられるようですが、やはりご自身をモデルにしているであろうことは明らかです。

円地文学の柱ともいえる三部作ではないでしょうか。

2012年5月 2日 (水)

「東京・食のお作法」マッキー牧元

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自称タベアルキストの著者が食のお作法を指南してくださいます。

いろんなジャンルの店や食べ物を紹介しておられるのですが。

まあ前書きにも書いておられるように人がそれぞれどんな食べ方をしようが「大きなお世話」なんですけどね。(笑)

でもラーメンにいきなりコショウかける人とか、から揚げに反射的にレモン絞る人とか、焼肉屋で網一面に肉を並べる人とか、他人事ながら気になったりはします。

そんなことについても触れてはおられますが、特に説教臭いところはありません。

ご自分の食べ方を披露するのと店紹介がメインの内容です。

まあなんやかんやいいつつも東京の飲食店ガイドブックですね。

2012年4月30日 (月)

4月の一冊

今月読みましたのは14冊です。

まずまずの量。

・「耽溺者(ジャンキー)」グレッグ・ルッカ
・「お金をかけずに食を楽しむフランス人 お金をかけても満足できない日本人」吉村葉子
・「マリモ 酒漬けOL物語」山崎マキコ
・「仮面の国」柳美里
・「剣客商売 隠れ蓑」池波正太郎
・「息がとまるほど」唯川恵
・「グルメの嘘」友里征耶
・「四畳半神話大系」森見登美彦
・「味な旅 舌の旅」宇能鴻一郎
・「塩の街」有川浩 
・「ホンのお楽しみ」藤田香織 
・「ちゃぶニチュード! 日本全国マズイ店列伝」野瀬泰申
・「粗茶を一服 損料屋喜八郎始末控え」山本一力
・「世界一周恐怖航海記」車谷長吉

「耽溺者(ジャンキー)」、翻訳ものです。

長かったですけどそれほど退屈はしませんでした。

かといってのめり込みもしませんでしたけど。

「お金をかけずに食を楽しむフランス人 お金をかけても満足できない日本人」、まさしく国民性が表れていますね。

食事に限らずとにかくお金をかけるのがいいことだと思っている日本人は多いと思います。

「マリモ 酒漬けOL物語」、いまいちでした。

まとまりが悪い印象です。

どうせならコメディ路線でいったほうがよかったように思いますが。

「仮面の国」、さすがの柳美里。

賛同できるかどうかは人それぞれですが、ビシバシと鋭い発言をしておられます。

「剣客商売 隠れ蓑」、本編16巻、番外編2巻の中の7巻目です。

いつもながらどっぶりと世界に浸れます。

「息がとまるほど」、短編集。

綺麗ごとではない女性の生き様が描かれていて楽しめました。

「グルメの嘘」、飲食評論業界でなにかと話題(?)な友里氏。

私はこういう人がいていいと思いますけどね。

「四畳半神話大系」、森見ワールドですねぇ。

同じ文章が何度も出てきてくどかったりもしますが、構成上やむを得ないことでしょう。

真面目なんだかふざけてるんだかわからない雰囲気がいい。

「味な旅 舌の旅」、グルメな宇能鴻一郎センセイ。

実は別名義でグルメ小説なんかも書いておられるんですよね。

「塩の街」、有川浩のデビュー作。

なかなかのSFだとは思いますが、ちょっと恋愛に肩入れし過ぎな感あり。

それがこの作者の持ち味かもしれませんけども。

「ホンのお楽しみ」、本日の脂肪率が何%だのどうでもいい前フリは鬱陶しいですが、本の紹介については参考にさせていただきたいと思います。

「ちゃぶニチュード! 日本全国マズイ店列伝」、著者は日本経済新聞特別編集委員。

お堅い肩書きのわりにはなかなか面白い試みをなさっています。

「粗茶を一服 損料屋喜八郎始末控え」、シリーズ第3弾。

主人公の喜八郎はもちろん、ライバルの伊勢屋がいい味を出してきて欠かせない脇役となってきました。

「世界一周恐怖航海記」、怨念の作家・車谷長吉の世界一周船旅エッセイ。

100日間の旅で作家は何を見、何を感じたのか。

興味深く楽しく読みました。

さて、今月の一冊ですが。

今回も読んでいて「今月はこれだな」と読みながら鼻息荒くなるほどの作品はなし。

というか、そこまで興奮させてくれる作品ってそうそうありませんけどね。

しかし池波正太郎、唯川恵、山本一力など毎回安定したレベルの作品を楽しませてくださいます。

森見登美彦、有川浩といった若手の作品もそれなりによかったですし。

やはり「粗茶を一服 損料屋喜八郎始末控え」でしょうか。

シリーズ第3弾ということで最初ほどのインパクトはありませんけども、さすがに山本一力。

上手いですねぇ、読ませてくださいます。

人情とか男気とかそういうのにシビレるんですよね。

今月の一冊はこれで。

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2012年4月28日 (土)

「世界一周恐怖航海記」車谷長吉

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嫁はん(詩人・高橋順子)にせがまれ世界一周の船旅に出ることになった長吉っつぁん。

外国など行きたくもないのですが、家に置いてきぼりにされるのもつらい。

というわけで100日間の旅がスタートです。

やはりこれは車谷長吉という異端(?)な作家の体験談だからこそ面白い。

もちろん他の作家でもそれはそれで興味深い読み物とはなるでしょうが、長吉節と世界一周というなんだかミスマッチな感じがいいんですよね。

そして船に乗り合わせたいろんな人を見る目がいかにもです。

これは日記形式なのですが、できれば日常の生活もこのように纏めて出版していただけないものでしょうか。(笑)

氏の日常には非常に興味あります。