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2012年1月28日 (土)

「魯山人味道」北大路魯山人 平野雅章編

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北大路魯山人。

陶芸家であり、書道家であり、篆刻家であり、料理家であり・・・・。

多才な芸術家であったようです。

中でも人生をかけてひたすら追い求めたのが美食。

自身で「美食倶楽部」、「星岡茶寮」といった料亭も手がけておられました。

そんな美食家魯山人が食について語っているのがこの本です。

かなり上から目線で語っておられる部分も多々ありますが、それがこの人物のキャラクターでありましょう。

かの有名な「トゥール・ダルジャン」で鴨を醤油と粉わさびで食べたというエピソードも書かれています。

しかしそのような傲慢な性格ゆえ世間からはずいぶんと冷遇されたようですが、死後になって天才として再評価されました。

亡くなってから評価が高まるというのは世の常ですね。

2012年1月26日 (木)

「雛の鮨 料理人季蔵捕物控」和田はつ子

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主人公の季蔵は日本橋の「塩梅屋」の料理人。

ある日、「塩梅屋」主人の長次郎が殺されます。

明らかに他殺であろう事件ですが、奉行所は自殺として済ませようとします。

納得のいかない季蔵と長次郎の娘のおき玖は下手人を追います・・・・。

その他、元長崎奉行の嫡男に陥れられようとしたり。

まあなんやかんやと主人公が事件に巻きこまれながらもそれを解決していくという内容です。

しかしなぁ。

事件の解決があっけなくなんの面白みもありません。

なので捕物帖としていまいちです。

じゃあ料理小説としてどうなのかといいますと特に料理が魅力的に描かれているわけでもなく、別に主人公が料理人である必要はないのでは。

どうしても高田郁の「みをつくし料理帖」シリーズと比べてしまいます。(同じハルキ文庫ですし 笑)

主人公が表向き商売人で実は違う顔を持つ(この巻ではまだそこまでいってませんが)ということでは山本一力の「損料屋喜八郎」シリーズがありますけども、それとも比べてしまうのです。

そうなるとこの作品がどうしても薄っぺらく感じてしまうのですね。

主人公の魅力、脇役の味、物語の深み、料理の魅力の無さ・・・・。

しかしシリーズとして長く続いていますので、今後面白くなっていくのでしょうか。

すでに購入済みですので(笑)これからに期待します。

2012年1月24日 (火)

「夢の回廊」梁石日

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短編集。

梁石日には作家として二つのルーツがあります。

まず大きなのは在日韓国人だということ。

これはもう作家梁石日のアイデンティティといえるでしょう。

そしてもうひとつはタクシードライバー。

作家になる前はタクシーの運転手をやっておられ、その経験を元に書かれた「タクシー狂躁曲」で作家デビューしておられます。

この短編集はそのどちらのテーマにも跨いでいるのですが、初期の習作集といったレベルでしょうか。

前半の「夢の回廊」から「さかしま」にかけては連作といえますが、取り上げられたテーマはいいものの物足りません。

これらは長編のためのプロローグにするべきではないかと思いました。

後半のタクシー運転手ものもまだ梁氏が作家としてなにを書くべきかの本領に目覚めておられないのでは。

梁氏にとってルーツではありましょうが、小手先の短編という感があります。

やはりこの作者、長編でガツンと読ませるタイプでしょうね。

構成の難はありますが(笑)、ディープなテーマでどっぷりと長編を読みたい。

2012年1月22日 (日)

「バンドーに訊け!」坂東齢人 実は 馳星周

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書評集です。

「本の雑誌」に連載されていたもので、以前に読んだ北上次郎の「新刊めったくたガイド大全」と同時進行の連載だったようです。
http://tarochan.blog.eonet.jp/ohimatsubushi/2011/12/post-ea7c.html

なのでどうしてもそれと比べてしまうわけですが。

まず紹介しておられる本の数が少ない。

そしてジャンルが狭い。

なによりおちゃらけた文章が気持ち悪い。(笑)

これ、著者は馳星周氏なんですよね。

でもこの時点ではまだ馳星周としてデビューしておられないわけで、本名の坂東齢人名義で書かれたもの。

なので大沢在昌や花村満月などの作品に対しても、リスペクトしつつも苦言を呈しておられたりしています。

そんなのをあえて出版されたのはご立派。

ただ私の感想としましては、書評集としてはもひとつな気がします。

2012年1月20日 (金)

「田村はまだか」朝倉かすみ

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小学校の同窓会の3次会で深夜のバーに集まった5人の男女。

店のマスターも含めて彼らが待つのは「田村」なる同級生。

しかしなかなか田村はやってきません。

いったいなにをしているのか。

各自いろんな自分の過去を思い出し、語りながらひたすら田村を待ち続けます。

それにしても田村はまだか・・・・。

それぞれの登場人物にスポットを当てながら名前が明らかになり、過去を書くことによってその人物のキャラを立てていくという構成です。

それはそれで短編として読める内容で、さりげなく各人物の人生を描いています。

しかし私が最後までよくわからなかったのは、彼らが田村を待ち続けるその根拠。

吸引力といいますか、そこまでして皆が待ち続ける魅力が田村のどこにあるのか。

そこのところが弱いと思うのですがどうなんでしょ。

ま、ある意味田村の存在はそれぞれの人物紹介のための道具であるような気もします。

田村を待つという共通の目的を持ち、深夜のバーという閉鎖的な空間で時間を共有する男女の物語。

裏表紙には「ラストには怒涛の感動が待ち受ける」とありますが、どこにそんなのが?

2012年1月18日 (水)

「くさいものにフタをしない」小泉武夫

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発酵食品といえばこの人、小泉武夫センセイ。

そして発酵食品といえばやはりにおいですね。

「くさや」や「糠漬け」、「納豆」など。

「鮒鮓」なんてのもあります。

でもにおいのきつい食べ物ほどはまればやみつきになってしまったりします。

においがきついといっても発酵の「匂い」と腐敗の「臭い」は違うと小泉センセイはいいます。

実験で小学生の前で世界一くさい食品であるシュールストレミングというニシンを発酵させた缶詰を開けたところ、みな大騒ぎ。

しかし小泉センセイが食べてみせるとみな興味津々で近づいてき、おいしいと言って食べたのだとか。

ところが腐った鯖のにおいを嗅がせると、明らかに不快感をしめしたというのです。

つまり「発酵」と「腐敗」をちゃんと嗅覚で嗅ぎわけているんですね。

そもそも嗅覚というのは危険な物に対する警戒装置。

においによってそれを口に入れていいかどうか判断するというわけです。

食事においてにおいというのは大きな役割をはたしています。

鼻が詰まっていると食事が美味しくないのは周知の通り。

その他、記憶と結びついていたりとか心身を癒したりとか、さまざまな働きが知られています。

そんな「におい」についていろいろ楽しく案内してくださる一冊です。

2012年1月16日 (月)

「復讐はお好き?」カール・ハイアセン

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結婚記念日のプレゼントということで、妻のジョーイを船旅に誘った夫のチャズ。

しかしチャズはジョーイにたっぷりと赤ワインを飲ませ、デッキに連れ出してなんといきなり足首をつかんで海に放り投げるのです。

真夜中の海を漂い薄れていく意識の中で、元捜査官のミックに助けられ九死に一生を得るジョーイ。

チャズはもちろんジョーイが死んだと思っています。

夫の許せない裏切りに腹を立て、ミックと組んで復讐を実行するジョーイ。

さて・・・・。

「このミステリーがすごい! 2008年版」で海外編の第2位に選ばれた本作。

どんなものかと読んでみたのですが。

これはユーモアといいますかコメディーといいますか。

いやあ、面白かった。

547ページの長編ですが、まったく最後まで飽きませんでしたね。

キャラがそれぞれしっかりと立っています。

特に主人公の夫であるチャズのキャラは秀逸。

そして文章がいい。

原文はどうか知りませんけども訳が成功していますね。

最近読んだ翻訳ものの中ではいちばんの作品でした。

2012年1月14日 (土)

「窓のある書店から」柳美里

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エッセイ集。

そのときどきの読書や、作家としての矜持のようなものがひりひりと書かれています。

柳氏からはつねにそのようなひりひりさを感じます。

ご本人はどのように受け止められるかわかりませんけども。

それが柳美里の魅力なんですけどね。

「窓のある書店から」というタイトルは、著者がかねがね書店に窓がないのはどうしてだろうか、という疑問を持っておられたことから付けられたタイトルです。

たしかに窓のある書店ってなかなか思いつかないですね。

でもそれはそうでしょう、窓があれば本が日に焼けますから。

単純にそんな理由だと思うのですが。

しかし図書館なんかはけっこう庭に面して広い窓を設けたりしていますね。

でまあ、そんな疑問を持ちつつも、ついに窓のある書店を見つけられます。

著者はちょくちょくとその書店に通われるのですが、さてそれは実在する書店なのか。

私は著者の心の中にある店だと思うのですけどね。

なにしろ柳美里の書く文章はどこまでが真実で虚構か曖昧ですから。

もちろんそれは意図してのことですけど。

2012年1月12日 (木)

「鳥葬の山」夢枕獏

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短編集です。

どれも幻想小説といえばいいんですかね。

表題作はチベットで鳥葬を見た主人公が、それ以降帰国してからも悪夢にうなされる話。

鳥葬というのは、遺体をハゲワシに処理させるという儀式です。

悪夢どころか現実では烏の群れに追いかけられて・・・・。

八編収録されていますが、どれもなんだかなぁ。

「超高層ハンティング」なんてまったくいやはや。

出来の悪い漫画のような駄作。

もしかしてこれはデビュー前の習作をまとめたものかと思いましたが、そうでもないようで。

思いっきり肩透かしな一冊でした。

2012年1月10日 (火)

「今朝子の晩ごはん 環境チェンジ!篇」松井今朝子

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この本もシリーズ第四弾となるのですね。

ブログで公表しておられる日記の文庫版なのですが、なぜかブログでは読まず本で読むのがいい。

情報収集はともかくとして、やはり読み物はネットではなく本で読むほうが私には合っています。

今回の内容は2008年の下半期。

7月から12月までが収められています。

「環境チェンジ!篇」ということで、私生活では軽井沢での避暑生活や、世の中の動向としてはリーマンショックやオバマ氏の大統領就任など。

北京オリンピックについても取り上げておられます。

食につきましては「QPで見た料理」、「東横のれん街でゲット」、「東急レストラン街で食事」というお決まりのフレーズも健在です。

もちろんそれら以外にもいろいろと食事しておられますが。

ただこの方、けっこう肉料理や揚げ物を多く摂取しておられるんですよねぇ。

それに比べると魚が少ない。

野菜はけっこう食べておられるようですが。

もうちょっとヘルシーな食事をされたほうが・・・・なんて、もちろん大きなお世話でしょうね。(笑)