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2016年12月11日 (日)

「町でいちばんの美女」チャールズ・ブコウスキー

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30編の作品が収められた短編集。

けっこうお下品ですねぇ。(笑)

内容はどうといって説明のしようがないんですけど。

主人公が作者自身だったりするのですが、だらしなくて、まともに仕事もせず、酔っぱらっていたり、女にだらしなかったり。

ですがどこか憎めない。

人生に対して刹那的といいますか行き当たりばったり的なのですが、別の言い方をすれば自分に正直に生きているともいえます。

一般的な感覚からすればアウトローなわけですが、しかし毎日糞真面目に生きているよりもよほど人生を謳歌しているのではないかという気もしてきます。

いつも酒飲んで酔っぱらって、女の尻を追いかけ、気に入らない仕事はすぐに辞める。

ある意味理想ですよね。(笑)

ただそんなことをやっていて生活が成り立つのかという現実がありますけども。

しかしこの主人公たちの投げやりさ無気力さには人生に対しての達観を感じさせます。

怒り、悲しさ、寂しさ、そのようなものがベースにあるのは間違いない。

それらを突き抜け、生に対してもう何も求めなくなる境地。

そうなるともう何も怖いものはありません。

思うがままにただ毎日を生きるのみです。

2016年12月 9日 (金)

「私の大好物」週刊文春 編

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各界の著名人たちが紹介する大好物。

オールカラーです。

こうやって見ますとほとんどがいわゆるB級グルメの類といえます。

やはり大好物というからには何度も足を運んだり購入したりするわけで、そうなるとご大層な高級店のなんたらよりも大衆的な食べ物ということになるのでしょう。

身近な食べ物がいちばんです。

こういう企画は写真がないとだめですね。

文章だけでは物足りません。

写真というビジュアルの持つインパクト、説得力。

しかし白黒ではいけません。

それならむしろ載せないほうがまし。

白黒の料理写真ほど味気ないものはない。

ページをめくるたびに唾液がじゅわじゅわと溢れ、お腹がグーと鳴る一冊です。(笑)

2016年12月 7日 (水)

「天然ブスと人工美人 どちらを選びますか?」山中登志子

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さて、タイトルの質問をされたときに男性たちはどちらを選ぶのか。

著者が周りの男性たちに質問したところ、なかなかはっきりとした答えは返ってこなかったようで。

でも単純に美人かブスかといえば当然美人がいいに決まっています。

ただ『人工』というところが引っかかってくるわけで。

もちろん付き合う女性の基準はそれだけで決まるわけではなく、性格とか価値観とか様々な要素が関わってきますけども。

ですが美人に越したことはないでしょう。

この本では7章にわけていろんな角度から美人&ブスについて検証しています。

第1章、「美人論&ブス論」書き手の顔

第2章、美の格差社会 ― 私的「美人論&ブス論」

第3章、顔が変わった女たち

第4章、顔とからだにメス ― 美容整形

第5章、フェチが「外見オンチ」を救う

第6章、見た目とセックス

第7章、顔の履歴書

美人論&ブス論を書いている人たちはどういう“立ち位置”なのか。

両者は社会的にはどうなのか。

顔が変わることにより自分はどのように変わるのか。

美容整形の実態は。

好みは人それぞれだし顔にこだわらない人もいる。

どんな外見の相手とでもセックスはできるのか。

病気で顔が変わってしまった著者の“履歴”は。

ざっくりとそのような内容です。

著者は『アクロメガリー(先端巨大症)』という病気のため、16歳の頃から顔が変わってしまったとのこと。

いわゆるブスの範疇に入るのでしょう、なのでこのような本を書くことになったともいえます。

ちなみに著者はブスのことを『外見オンチ』と表現しておられます。

ストレートな表現を避けてのことなのか、私的には読んでいてどうもこの言葉がしっくりときませんでした。

やはり『ブス』か『不美人』が適当だと。

でもいずれ『ブス』という言葉は差別用語になるかもしれませんね。

2016年12月 5日 (月)

「ザ・ベストテン」山田修爾

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70年代後半から80年代後半にかけて、「ザ・ベストテン」という歌番組がありました。

歌番組の全盛時代です。

木曜日午後9時放送開始のこの番組を毎週楽しみに観ていたのは、現在40代後半以上の世代でしょうね。

とにかく画期的な番組でした。

基本、ベストテンに入った歌手に出演してもらいスタジオで歌ってもらうわけですが、生放送なのでなかなかそうはいきません。

スケジュールが合わない人もいれば出演拒否する人もいます。

スタジオに来られない人には、その人のスケジュールに合わせてカメラが追いかけていきます。

松田聖子の飛行機の到着に合わせて空港で歌ってもらったり。

桜田淳子のスケジュールに合わせ、ニューヨークから音楽番組初の衛星生中継をしてみたり。

この本では紹介されていませんけども、伊藤敏博がまだ国鉄(現JR)の車掌をしていたときに、駅から中継したなんてのもありましたね。

出演できない人がいた場合には、司会の久米宏と黒柳徹子がひたすらお詫びしたりして。

このなにが起こるかわからないライブ感が受けたんでしょうね。

視聴率も全盛期には35%~40%をキープ。

すごいことです。

この本の著者はそんな怪物番組の元プロデューサー。

いろんな歌手やエピソードが紹介されており、毎週「ザ・ベストテン」を観ていた世代には懐かしい一冊です。

2016年12月 3日 (土)

「ツインズ twins 続・世界の終わりという名の雑貨店」嶽本野ばら

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「ミシン」に収録されている「世界の終わりという名の雑貨店」の続編です。

前作で『君』を亡くした『僕』は無気力になり、睡眠薬を大量に飲む廃人のような生活です。

余生に入る前にやっておかなければならないことがあると、僕は君の手紙に返事を書き始めます。

書き上がったその小説風の文章に「世界の終わりという名の雑貨店」というタイトルを付け、出版社で文芸誌の仕事をしている知人に送ります。

それが単行本を企画し出版している女性編集者の目に止まり、僕は作家としてデビューすることに。

予想以上にその作品は売れ、僕は新しい作品を期待されます。

しかしあの作品以上のものなんてなかなか書けるものではありません。

そんなとき教会で『彼女』と出会うのですが・・・・。

前作との関わりが入れ子構造になっているのですね。

つまりこの作品で書いた君への返信が前作であったと。

君を亡くし、新たに目の前に現れた彼女に僕は運命的な出会いを感じます。

彼女は言います。

貴方の存在は自分と双子(ツインズ)であると。

僕は彼女に君の姿を重ねつつ新しいパートナーとして生きていくことを決意するのですが、ちょっとまあ都合のいいやっちゃなと。(笑)

君に対する気持ちは純愛であり、また奇行癖のある彼女に付き添う気持ちも愛がないとできないことではあるでしょうけど。

そうそう純愛を連発するなよと。

ただその気持ちは君への後悔と償いの気持ちでもあります。

今度こそもう一度、と。

ま、新しく恋愛するときは誰しもそう思うんですけどね。(笑)

2016年12月 1日 (木)

「食をめぐる旅」銀色夏生

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著者と角川書店2人の編集者であちこち話題の店を食べ歩いたグルメエッセイ。

面白いのは店を決定するまでのプロセスや訪問の感想についてのメールのやりとりを掲載していることですかね。

このあたりがちょっと他のグルメエッセイとは違います。

ただ読んでいてこの人たちの感覚は世間とはズレているなと。

出版社の経費で三ツ星の店だの何だの。

お勘定は5万だの7万だの。

出版社というのはいまだにこんなものなんでしょうか。

本が売れないだのなんだの言われている中で、お気楽な企画です。

これも仕事であり経費であるというのならば、それはまったく真っ当な主張だと思います。

もっとお金のかかる企画はいくらでもあるでしょうし。

しかしこんなことを堂々と書いて本にしてしまうそのセンスが問題で、著者は無邪気なのか無神経なのか。

出版社の金で次はあの店に行きたいこの店に行きたいって、あんた・・・・。

というか、企画して一緒にはしゃいでいる編集者も同じくなのですが。

もちろんどのようなジャンルの取材にもお金はかかるでしょう。

ですがこのバブル時代のようなバカッぷりはなんなのかなと。

もうちょっと露骨さを控えるという心遣いはできなかったものか。

ひとことで言えば「下品」なんですね。

タイトルが「食をめぐる旅」って。

このような内容の本につけるタイトルですかねぇ。

2016年11月29日 (火)

11月の一冊

今月読みましたのは以下の14冊です。

・「書店員の恋」梅田みか
・「暗闇一心斎」高橋三千綱
・「ウイスキー粋人列伝」矢島裕紀彦
・「パリごはんdeux」雨宮塔子
・「手塚治虫はどこにいる」夏目房之介
・「痛風はビールを飲みながらでも治る! 患者になった専門医が明かす闘病記&克服法」納光弘
・「B級学【マンガ編】」唐沢俊一
・「身体のいいなり」内澤旬子
・「私も燃えている」円地文子
・「まだある。 今でも買える“懐かしの昭和”カタログ ~食品編~」初見健一
・「発酵食品礼讃」小泉武夫
・「下町ロケット」池井戸潤
・「名画感応術 神の贈り物を歓ぶ」横尾忠則
・「ロマンスライターズ・ラブストーリー」真砂耀瑚

「書店員の恋」、2人の男性のあいだで悩む恋。

でも恋も大事ですけど仕事も大事なんですよね。

「暗闇一心斎」、いつもながらのらりくらりとした印象の主人公は高橋作品らしい。

時代小説としては邪道かもしれませんが、これが作者の味わいでしょう。

「ウイスキー粋人列伝」、ウイスキーに思い入れのある人たちのエピソード集。

読みながらウイスキーを飲みたくなる一冊です。

「パリごはんdeux」、パリで暮らす著者のグルメエッセイ第2弾。

これを読む限りは羨ましいセレブな毎日です。

「手塚治虫はどこにいる」、テーマやストーリーからではなく、絵から分析した手塚論。

著者ならではの視線ですね。

「痛風はビールを飲みながらでも治る! 患者になった専門医が明かす闘病記&克服法」、通風患者に朗報な一冊。(笑)

一般的に通風においてビールが悪者扱いされているのは明らかに間違った知識だと思います。(決していいとはいいませんが)

「B級学【マンガ編】」、B級にこだわる著者のマンガ論。

でも私は著者の主張にはあまり共感できませんでしたけどね。

「身体のいいなり」、乳癌になった著者の闘病エッセイです。

深刻な雰囲気を漂わせず読み物にしているのが天晴れだと思いました。

「私も燃えている」、中年女性の恋愛がメインの話といえましょうか。

いくつになってもやはり燃えていたいですよね。

「まだある。 今でも買える“懐かしの昭和”カタログ ~食品編~」、昔懐かしい、しかしいまだに販売されているお菓子類を紹介した本です。

子供の頃の思い出がよみがえります。

「発酵食品礼讃」、身の周りにたくさんある発酵食品。

そんな発酵食品の不思議と有り難さを知ることができます。

「下町ロケット」、町工場の社長という現実を直視しなければならない立場ながら、夢とプライドを捨てきれない男のロマン。

子供じみているかもしれませんが、だからこそ熱くなれる内容だと思います。

「名画感応術 神の贈り物を歓ぶ」、絵を楽しむのに理屈はいらないとの主張には大賛成。

でもやはりある程度の解説はいりますよね。

「ロマンスライターズ・ラブストーリー」、いろいろとカッコイイ男性とのロマンスやエッチを空想する女性たち。

そんな女性たちのハッピーエンドなラブストーリーです。

ではではこの中から今月の一冊をば。

やはり「下町ロケット」が抜きん出ていましたね。

ベタな展開ではありますが、じゅうぶんに乗せられ読ませられました。

エンターテイメント作品として素晴らしいと思います。

今月の一冊はこれで。

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2016年11月27日 (日)

「ロマンスライターズ・ラブストーリー」真砂耀瑚

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短編4編収録。

主人公はロマンス小説をネットで公表していたり、空想でストーリーを創ってヒロインになってみたりな女性たちです。

香澄はごく普通のOL。

ネットではエッチで大胆なロマンス小説を公表しているのですが、現実の彼氏の慎介とはちょっと物足りません。

ですがそんなことは言い出せなくて。

ある日香澄のアパートにやって来た彼は、うたた寝して点けたままになっている香澄のパソコンを見ます。

そこには日頃の彼女からは考えられないエッチなシーンを書いた小説が。

さて、慎介は・・・・。(香澄のストーリー)

外資系のソフト会社に勤務している木村桜子28歳。

社内で恋愛シミュレーションゲームのシナリオ募集があり、趣味でオンラインノベルを書いている桜子は賞金目当てに応募することにします。

しかし完璧なデートなどしたことのない桜子にはなかなかリアリティのあるストーリーが作れません。

それを知ったモデルも真っ青な長身で美形の高岡が、仮想恋人になってデートしようと桜子を誘います。

当日高岡はなんとフェラーリで桜子を迎えに来て・・・・。(桜子のストーリー)

ケーキ屋でバイトする矢野綾芽は美味しいケーキとロマンス小説を読むのが大好き。

常連客の智也がちょっと気になっています。

25歳の誕生日に智也からデートに誘われた綾芽。

そして何度目かのデートで“その時”を迎えます。

ですが綾芽の足には交通事故で付いた大きな傷跡があるのがコンプレックス。

しかも25歳で処女。

綾芽は智也を受け入れることができるのか・・・・。(綾芽のストーリー)

広瀬小百合は雑誌の編集をしている28歳のキャリアウーマン。

連載を依頼している大学助教授の森崎に片思いしています。

しかし森崎は無口でよそよそしい。

ある日編集長に呼ばれた小百合は、オンラインノベル作家のアヤを担当するよう言い渡されます。

打ち合わせも原稿のやりとりも、すべて面談なしでメールだけでやりとりするようにというちょっと変わった指示です。

慣れるに従い、アヤに森崎とのことをいろいろとメールで相談するようになる小百合。

その結果・・・・。

短編集ということで、いろんなパターンを楽しめました。

ま、なんにせよ女性もいろいろとエッチなことを妄想しているのだなと。(笑)

2016年11月25日 (金)

「名画感応術 神の贈り物を歓ぶ」横尾忠則

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絵画をどう観るかということは実にむつかしい。

というのは本当だろうか、と著者は問いかけます。

左脳で「わかる」、「わからない」で選別すればそれでいいのかと。

知識がなくても心をオープンにすれば絵に感動する魂をなびかせるのだと。

そうなんですよねぇ、素直に単純にその絵と向き合い楽しめればそれでいいと思います。

しかし言うは易し行うは難しで。

右脳で感じたことを左脳が理屈で邪魔してしまうみたいな。

ただ神だとか霊感だとか宇宙だとか、オカルト的な話をされるとちょっとそれはどうかなと思うのですが。

このあたりはやはり横尾忠則だなと。

さて、この本では36の画家と作品が紹介されています。

それに著者が文章を添えているわけですが、色使いがどう、構図がどうという話にもなり、どうしても分析的な観かたになってしまいます。

ですがそれはやはりある程度必要なことでしょう。

そのような解説があって「ああ、なるほど」と思ったり「そうだったのか」という発見があったりします。

自分の感性にはない観かたを教えてもらえますから。

でも結局は自分がどう感じたかですけどね。

それは音楽でも料理でも同じことでしょう。

2016年11月23日 (水)

「下町ロケット」池井戸潤

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宇宙科学開発機構の研究員をしていた佃航平。

自分で設計したエンジンでロケットを飛ばすことが夢でしたが、しかし打ち上げに失敗して研究員を辞めることになります。

それから実家の町工場佃製作所を継いで7年。

大企業をも凌ぐエンジンに関する技術とノウハウで、売り上げを3倍に伸ばしました。

しかし得意先からいきなり取引停止を言い渡され、ライバルの大手メーカーであるナカシマ工業から特許侵害の訴えを起こされます。

そんな資金繰りで窮地に立たされる佃製作所の特許に、国産ロケットを開発する帝国重工が手を伸ばしてくるのです。

特許を売り、窮地を脱するべきなのか。

ですがその技術には佃の夢やプライドが詰まっています。

このピンチを佃はどう切り抜けるのか・・・・。

熱いですねぇ。

パターンとしてはまあ半沢直樹シリーズと同じです。

窮地に追い込まれ、そこから起死回生の一発で大逆転という。

王道なパターンではありますが、しかし白けることなくぐいぐい読ませる筆力はさすがの池井戸潤でしょうか。

カタルシスを得られ、ラストにはちゃんと感動もあります。

主人公の他、脇役もいい味を出していますね。

経理部長の殿村、開発部長の山崎、帝国重工の財前・・・・。

しっかりとエンターテイメントしたいい小説でした。