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2016年8月31日 (水)

8月の一冊

今月は以下の15冊を読みました。

・「風立ちぬ・美しい村・麦藁帽子」堀辰雄 
・「戦争の話を聞かせてくれませんか」佐賀純一
・「人間はこんなものを食べてきた 小泉武夫の食文化ワンダーランド」小泉武夫
・「東京すみっこごはん」成田名璃子
・「井狩春男のヘンテコ本が好きなんだ」井狩春男
・「藝人春秋」水道橋博士
・「恋する空港 あぽやん2」新野剛志
・「まだまだ酔ってません 酒呑みおじさんは今日も行く」大竹聡
・「頭痛、肩コリ、心のコリに美味しんぼ」雁屋哲
・「まどろむ夜のUFO」角田光代
・「本棚探偵の回想」喜国雅彦
・「いっぽん桜」山本一力
・「日本ふーど記」玉村豊男
・「ユリイカ2月臨時増刊号 総特集★中村佑介 イロヅク乙女ノユートピア」
・「パリのレストラン」ローラン・ベネギ

「風立ちぬ・美しい村・麦藁帽子」、美しい作品ではあります。

しかしさすがに今読むとちょっとそぐわないですね。(笑)

「戦争の話を聞かせてくれませんか」、戦争というとんでもない体験をした人たちのからの聞き書き。

これはぜひ記録として残すべき貴重な証言集です。

「人間はこんなものを食べてきた 小泉武夫の食文化ワンダーランド」、現代の食生活は乱れています。

昔からの食を振り返り見直すべきではないでしょうか。

「東京すみっこごはん」、グルメ小説です。

地味ではありますが心温まるような話です。

「井狩春男のヘンテコ本が好きなんだ」、その名の通りいろんなヘンテコ本を紹介した一冊。

さほどヘンテコでもないのも多数掲載されていますが。

「藝人春秋」、芸能人たちのエピソードを語らせたらやはりこの人ですね。

楽しく読めました。

「恋する空港 あぽやん2」、空港を舞台にしたお仕事小説第2弾。

主人公の前向きさが私は好きになれませんが、それを言っちゃおしまいか。(笑)

「まだまだ酔ってません 酒呑みおじさんは今日も行く」、酒飲みというのはなんでこうなのか。

反省・・・。

「頭痛、肩コリ、心のコリに美味しんぼ」、漫画界にグルメというジャンルのレールを敷いた功績のある原作者ではありますが。

正直言ってイタイです。

「まどろむ夜のUFO」、今の作風からすると文学的であろうと意識しすぎていたのかな。

そんな印象を持ちました。

「本棚探偵の回想」、相変わらず面白い。

ミステリーファンもそうでない人もぜひ。

「いっぽん桜」、短編集です。

この作者らしい人情味のあるいい作品集でした。

「日本ふーど記」、日本全国郷土料理の食べ歩き。

羨ましいですが、これはこれで苦労がおありだったようで。

「ユリイカ2月臨時増刊号 総特集★中村佑介 イロヅク乙女ノユートピア」、人気イラストレーター中村佑介の特集です。

いろんな角度から氏を知ることができます。

「パリのレストラン」、閉店するレストランの一夜の物語。

ほのぼのと温かい。

さてさてこの中から今月の一冊ですが。

やはり今回は「戦争の話を聞かせてくれませんか」が重かったですねぇ。

今後戦争を知らない世代ばかりになってしまいます。

これはぜひ語り継がれていかなければならない体験でしょう。

今月の一冊はこれです。

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2016年8月29日 (月)

「パリのレストラン」ローラン・ベネギ

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パリの小さなレストラン『ル・プチ・マルグリィ』。

夫婦で30年近く営業してきましたが今夜で閉店です。

真冬の雪が降る中、店に息子夫婦とその友人たちが集まり、お別れの晩餐会が開かれます。

オーナーシェフのイポリットが料理を作り、妻のジョセフィーヌがサービスをし、賑やかに食事が進んでいきます・・・・。

450ページほどの長編ですが、描かれているのは一夜でしかも舞台はほとんどレストランの中。

集まった人たちのさまざまな人間模様の物語です。

雪の降る寒い夜という設定がいいですね。

登場人物を含めてレストランの暖かみが強調されます。

しかしまだまだ元気なオーナー夫妻がなぜ店を閉めなければならないのか。

食事の進行と共に客たちの人間模様が描かれつつ、最後にはイポリットが店を閉める理由が明らかにされます。

この小説、ちょっとしたトリッキーな構成になっているんですね。

話は進行形ですが、登場人物のひとりであるオーナー夫妻の息子で作家のバルナベが書いた小説であるということにもなっています。

入れ子構造ですね。

箱の中にまた同じ箱があるというやつ。

ちなみにこの『ル・プチ・マルグリィ』というレストランは実在し、作者の両親が経営していたそうです。

現在も経営者は変わりましたが営業しているとのこと。

作者の体験を基にした小説なんですね。

2016年8月27日 (土)

「ユリイカ2月臨時増刊号 総特集★中村佑介 イロヅク乙女ノユートピア」

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イラストの世界にも当然流行がありまして、そういえば最近こんな絵をよく見るなというのがあります。

最近ならやはりこの人、中村佑介でしょう。

ミュージシャンのアルバムのジャケットや本の表紙などで誰もが目にしたことがあるんじゃないでしょうか。

ポップだけどノスタルジック、カラフルだけどアメコミのようにケバくない。

モチーフの組み合わせが大胆で奇抜。

でも見事にバランスが取れています。

そしてなんといっても女の子が魅力あります。

ラインがなまめかしくていいんですよねぇ。

このあたりの柔らかな色気というのは、例えば江口寿史の絵には無いように思います。

林静一の系列ですね。

で、やはりこういう天才の登場にはパクリな人たちが現れるわけで。

よく似た絵で堂々とプロとして仕事をしています。

具体的に名前は出しませんけども。

ようやるわと思います。(笑)

まあそれほど魅力のある絵であり、多くの人たちに大きな影響を与えたということです。

この本では中村氏へのインタビュー、イラストレーターや漫画家との対談、いろんな人たちの寄稿、習作時代の作品なども掲載されています。

中村佑介を堪能できる一冊です。

2016年8月25日 (木)

「日本ふーど記」玉村豊男

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日本というのは小さな国ではありますが、北から南までさまざまな郷土料理があります。

これはそんな郷土料理の食べ歩きエッセイです。

薩摩鹿児島でさつまあげを食べ、群馬下仁田でコンニャクを食べる。

瀬戸内讃岐では当然うどんです。

若狭近江はやはりフナずし。

北海道はサケに毛ガニにジンギスカン。

土佐高知はもちろんカツオのタタキと皿鉢料理でしょう。

岩手三陸でホヤを食べ、木曽信濃では鯉、そば、ハチの子。

秋田金沢日本海にてキリタンポ。

博多長崎はちゃんぽんです。

松坂熊野では海鮮のフランス料理を食べ、松阪牛のすきやき。

読んでいてお腹がすくやら食べた気になって満足するやら。

全国を旅した気になれる美味しい一冊でした。

2016年8月23日 (火)

「いっぽん桜」山本一力

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今年五十四歳の長兵衛は深川門前仲町の口入屋の番頭。

仕事ひと筋で娘にかまってやれず、せめて嫁ぐまでの数年、娘と存分に花見をしたいと庭に植えた一本の桜がある家に住んでいます。

ある日、長兵衛はあるじの井筒屋重右衛門に料亭に誘われます。

重右衛門は身を退いて息子の仙太郎に店を任せるというのです。

それどころか長兵衛も一緒に身を退いてほしいといわれます。

井筒屋をここまで大きくしたと自負する長兵衛にいきなり降って湧いた“定年”の話。

いや、悪い言い方をすれば解雇です。

娘の祝言を師走に控え、年齢的にもまだまだの自分がなぜ道連れに辞めさせられなければならないのか・・・・。

現代に置き換えれば企業の都合に左右されるサラリーマンの悲哀ですね。

井筒屋を辞めたあとの長兵衛はコネで魚卸の店に勤めるのですが、大店の番頭時代の習性が抜けきれず横柄な態度と頭の切り替えができない融通の無さで棒手振たちに総スカンをくらってしまいます。

いますねぇ、こういう人。(笑)

以前の会社でどれだけのことをしていたのかわかりませんが、新しい会社でやたらそれまでやってきたやり方を持ち出して皆を服従させようとする人。

他所の会社を追い出されて拾われた人間が何言ってやがんだ、てなものです。

もちろんそれだけで終わる山本作品ではありません。

表題作の他、3編収録。

「萩ゆれて」、「そこに、すいかずら」、「芒種のあさがお」とどれも花にちなんだタイトルが付けられています。

山本一力らしい人情味のある作品集です。

2016年8月21日 (日)

「本棚探偵の回想」喜国雅彦

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「本棚探偵の冒険」に続くシリーズ第2弾です。

相変わらず面白いですね。

前回で「ポケミスマラソン」なんてのをやっておられましたが、今回も似たような企画をやっておられます。

神保町という古書街を舞台に、すべての店で一冊買うというもの。

もちろんなんでもいいというわけではなく、探偵小説です。

その店で欲しい本が一冊しかないときはどんなに高くてもそれを買うとか、いろんなルールを設けておられます。

そして買うものがなくなった時点でケームアウト。

その結果は・・・・。

他、前回は豆本を制作しておられましたが、今回はトレカです。

いやいかし芸が細かいですねぇ。

本屋好きが棚を眺めていて気になることのひとつに、作者の名前の読み方を間違って並べられていることがあります。

著書もこれは異様に気になるようで。(笑)

角田喜久雄は『つのだきくお』と読むので『た行』に並べられなければならないところを、『か行』に並べられているとか。

丹羽文雄が『た行』だったり土師清二も『た行』だったり。

物知らずなバイト君に立腹しておられます。

私も柳美里が『ゆ』ではなく『や』で並んでいると黙って戻してやるときがあります。(笑)

(『やなぎみさと』ではなく『ゆうみり』)

探偵小説や古本ファンに限らず、すべての本好きにお勧めできる楽しい一冊です。

2016年8月19日 (金)

「まどろむ夜のUFO」角田光代

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夏の間だけ大学生の「私」のアパートに高校生の弟タカシが泊まりにきます。

予備校の夏期講習に通いたいとのことですが、目的は他にあるようです。

部屋の中に囲いを作ってその中で生活を始めるタカシ。

そして“彼女”のためにジャムを作ったりします。

友達だといって連れてきた恭一というのも胡散臭い。

「私」の彼氏のサダカくんというのもちょっと変。

きっちり5日ごとにデートをし、煙草は1日10本。

煙草1本ずつに数字を書き込み、律儀に順番どおり吸っていくような男です。

そんな変わった男たちと過ごす夏の物語。

「私」というのがまあ言わばこの話においてはニュートラルな立ち位置だと思うのですが、しかしどっしりと地に足が着いている感はありません。

部屋の中に囲いを作るような弟を咎めませんし、恭一と寝てしまうし。

浮浪者たちのような恭一の仲間たちと酒盛りしたりするし。

サダカくんなんていうなんだか面白みのない男と付き合ってるし。

男たちもたいがいですが、「私」もたいがいです。

ですが「私」はまだ大学生。

青春のひと夏の物語としてこんなのもありなんでしょう。

作者の初期の作品ということで、現在の作風からすればちょっと物語として薄い気がします。

純文学的ということかもしれません。

他に「もう一つの扉」、「ギャングの夜」を収録。

どちらも同じ雰囲気を持つ作品です。

2016年8月17日 (水)

「頭痛、肩コリ、心のコリに美味しんぼ」雁屋哲

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グルメ漫画「美味しんぼ」の原作者による食エッセイです。

さまざまな料理の紹介やらレシピやら。

しかしその内容はといえばやはり漫画と同じくやや上から目線。(笑)

なんでこんな嫌味な文章を書くのかなぁと思います。

環境汚染や食の安全性に対しての主張はどんどんしてくださればいいんですけども。

もうちょっと偏りなく穏やかにできないものでしょうか。

タイトルもなんだかなぁ。

読むとかえって頭痛とコリがひどくなるような気が・・・・。(笑)

2016年8月15日 (月)

「まだまだ酔ってません 酒呑みおじさんは今日も行く」大竹聡

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前作「ぜんぜん酔ってません 酒呑みおじさんは今日も行く」に続いてのシリーズ第2弾。

著者の酔っぱらっての失敗談がこれでもかと紹介されています。

酔っぱらって重ねるその失敗談の微笑ましく馬鹿馬鹿しく悲しいことよ。

酒呑みというのはなんと愛すべき人種でありましょうか。

なんて、私は酔っぱらいにそれほど寛容ではありません。

酔ってテンション高く周りの迷惑顧みず騒いでいるような人を見ると、正直なところアホかコイツはと思います。

素面ではそんな言動できんくせに酒の力で大きくなりやがってと。

なので酔っぱらいは大嫌いです。

ですが自分のこととなると話は別です。(笑)

私は朝から酒を飲む人間です。

朝の6時台から西成の飲み屋で焼酎飲んでます。

旨いんだなぁ、これが。

そのまま1日中ダラダラと酔っぱらっていたりします。

なので失敗談も多数あります。

駅のホームから線路に落ちたこともありますね。

酔いつぶれて雨の中歩道で寝ていたこともあります。

そこらに転がっていて気が付けば財布がなかったり。

うん、やっぱり酒呑みというのは憎めませんね、はい。

というわけで、酒呑みおじさんは今日も行くのです。

2016年8月13日 (土)

「恋する空港 あぽやん2」新野剛志

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遠藤慶太は旅行代理店の成田空港所に勤務する30歳。

新人の教育を任されつつ、あれやこれやといろんな問題が持ち上がります。

テロリストが搭乗する可能性が出てきたり空港で産気づく女性がいたり。

部下の女性たちに総スカンをくらったり台風がやってきたり・・・・。

シリーズ第2弾です。

空港を舞台にしたお仕事小説ですね。

連作短編の形でいろんなエピソードが描かれます。

前作の感想にも書きましたけど、やはりこういうお仕事小説はその業界ならではの舞台裏が読ませどころです。

舞台裏が上手く描かれていればフィクションといえどもリアリティが出ますし、話の厚みが違ってきます。

上辺だけの設定ではどうしても薄っぺらいものになってしまいますから。

そういう意味では著者は実際に旅行会社の社員として成田空港に勤務しておられた経験があるそうで、なるほどそれが生かされているわけですね。

空港という舞台がよく描かれていると思います。

そしてタイトルにもあるように今回は恋愛も絡んできます。

慶太にライバル(?)登場です。

主人公が仕事に対してちょっと善人過ぎる感が鼻につきますが(笑)、まあだからこその内容でもあるわけで。

楽しませていただきました。